赤い髪の淑女

「お客さんだよ、船長。
女のお客さんだ」部下の言葉を、コリンは一蹴した。
この吹雪のさなかに女の客人などありえない話だ。
冗談で応じていると船室のドアがあき、美しい女性が姿を現した。
上質のウールのフードからのぞく赤毛が、天使のような顔を縁取っている。
彼女は素性を明かさず、フランスへ連れていってほしいと懇願した。
コリンは強く興味を引かれながらも、何もきかずに渡航の手配を引き受ける。
その時のコリンは知る由もなかった。
彼女が背負った運命の重さを。
そして、彼女と出会った瞬間に、最後の恋に落ちたことを。
十七歳のミーガンが夢中で恋した男は、妊娠した彼女を無情にも捨ててスザンナ・カルフーンと結婚した。
あれから十年……。
ミーガンは息子を育てながら臆病に生きてきたが、ついに思い切った決断を下した。
伝説に彩られた“塔の館”に移り住み、カルフーン一族の経営するホテルの経理を担当するのだ。
でも、カルフーン家の四姉妹がいる大邸宅の暮らしになじめるだろうか? ミーガンは不安を抱えながら館に到着した。
最近、同じ夢ばかり見る。
燃えるような瞳の男が現れ、私を魅了する。
彼は小箱を差し出す。
だが中を見る前に、夢は消えてしまう。
アンバーは漠然と、その箱が死を意味すると悟った。
特別な血を受け継いだ彼女は、これまでも予知夢をよく見ていた。
彼は私に死をもたらすの……? ある日、車を走らせるアンバーの前に男が急に飛び出してきた。
慌ててブレーキを踏んだ瞬間、彼女は息をのんだ。
夢の中の男が、そこにいた。
親友のストームとともに探偵事務所を始めたマックス。
彼女には、ずっと好意を寄せてきた退職警官ルーとの間に、公私にわたるパートナーの関係を築きたいという思いがあった。
マックスは積極的に自分の気持ちを伝えようとするが、ルーはなかなか受け入れてくれない。
もどかしい思いを抱えていた彼女のもとに、友人から妹が行方不明になったという連絡が入る。
ルー、ストームとともにすぐに現地に向かったマックスを待ち受けていたのは、重苦しい空気に包まれた町と、まるで生気を吸い取られてしまったような住民たちの姿だった……。
父に憎まれ、追放されるように故郷を飛び出したリー。
彼女は6年後、父の葬儀のために屋敷に戻った。
父が亡くなった今であれば、母や姉たちとわかりあえるかもしれない。
だが、期待は見事に裏切られた。
一族の冷たい態度は変わらないどころか、むしろ悪化していた。
いたたまれない雰囲気の中、唯一、父の築いた企業帝国の若き後継者、リチャードだけが声をかけてきた。
6年経ってもまぶしいほどの美しさは変わらない。
その彼が、突然言った。
「君と結婚したい」と。
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